最近ネットやメディアで度々取り上げられている「低周波による眼筋トレーニング」機器。
眼筋トレーニングを言われると、使うことで視力も回復しそうな雰囲気ですよね。
でも以前にこのブログでお話しましたが、低周波では視力回復に関わる筋肉のトレーニングは99%不可能です。
視力回復どころか、もしかしたら危険性があるかも?という情報すらあります。
そうした事の周知も含めて、今回は低周波眼筋トレーニングについてお話したいと思います。
色んなサイトで「眼筋トレーニング」と言ってますが、眼にも色んな筋肉が沢山あります。
当然ながら筋肉によって役割は違いますので、どの筋肉のトレーニングなのか?というところが重要です。
実はこれをよくわかっていないであろう、というサイトがものすごくあります。
遠近のピント合わせを司るのは毛様体筋で、視力回復を目的とした眼筋トレーニングで一番に動かすべき筋肉です。
というか、毛様体筋がほぼ全てと言っても過言ではありません。
あとは強いて言うならば、眼球を上下左右に動かすための”上斜筋””下直筋”などの「外眼筋」があります。
ただ「外眼筋」はピントを合わせるためのものではなく、見る物の方向に眼球を向けるための筋肉なので、視力回復に関わる余地はごくわずかです。
そのため外眼筋を鍛えるためのトレーニングでは、視力の回復はほとんど見込めません。
これはこのブログで再三再四お話してきましたので、皆さんならご存知でしょう。
それどころか基本的な知識すら間違っているサイトもありました。
”乱視の原因が外眼筋の歪みにある”んだそうですが、かなり斬新な(残念な?)新説ですね。
勿論そんなことは無く皆さんご存知の通り、乱視の原因は角膜もしくは水晶体の歪みです。
ここで今回の本題ですが、低周波で眼筋トレーニングができないのは何故なのか?
皆さんご存知の通り、眼球は頭蓋骨のくぼみである眼窩(がんか)にすっぽり収まっています。
目の周りを触ってみればわかりますが、上下まぶたのすぐ近くにはもう骨があり、眼球の60~70%は骨に覆われている状態です。
眼球を上下左右に動かす外眼筋は眼球の外側についてはいますが、それも含めて全部頭蓋骨に収まっています。
更には低周波を流しても皮膚の抵抗を受けるため、皮膚の浅い表面までしか流れません。
百歩譲ってそれ以上到達するとしても頭蓋骨で完全に遮断されますので、低周波が外眼筋に届くことはありません。
千歩、いや万歩譲ってもし仮に外眼筋に低周波が届くなら、低周波を流している時に眼球は右・左など色んな方向に動いてしまうはずです。
それが無いという事は、外眼筋に低周波が来ていない証拠です。
低周波を流している時に眼球がグリングリン回ってたりしたら、それはかなり凄い絵面になりそうですけどね。
そもそも外眼筋は全部で6本あります。
その方の目の使い方によって、どの外眼筋を酷使しているか?という事は違うはず。
という事は「個別にどの外眼筋をトレーニングするか」という事を見極めて、その筋肉に低周波が行くようにしないといけないはずです。
でも実際に低周波を使っている画像を見ても、そんなことは不可能でしょう。
眼球の外側の筋肉ですら不可能なのに、眼球の内側にある毛様体筋を低周波でトレーニングすることなど、もっと不可能です。
なおサイトによっては「眼輪筋のトレーニング」という記載もありました。
眼輪筋は顔の表面にありますので、これなら低周波で刺激を与えることはできると思います。
ただ眼輪筋は上下のまぶたを開閉するための筋肉なので、それをトレーニングしたからと言って視力が良くなるものではありませんので、悪しからず。
まあ、低周波の眼筋トレーニングを謳っているHPや、機器のメーカーサイトを見ても「視力が回復する」という言葉は、筆者が見た限りでは一切出てきませんでした。
「眼筋トレーニングはできるけど視力が回復するものではない」という事なのでしょうか。
でも、とあるHPには使用前と使用後の視力の変化が書かれてあって、視力が回復するような表記もあります。
事実誤認を誘っているのだとすれば、結構悪意を感じてしまいますね。
そして「低周波で眼筋トレーニングはできない」という根本的な話にとどまらず、低周波治療器は頭部への使用は基本的に禁忌とされています。
一般販売されている医療機器としての低周波治療器は、筆者が見た限りでは全て「頭部への使用は避ける」と書かれていました。
なぜか業務用の美容目的に使用する低周波治療器のみ、頭部や目付近への使用がOK(?)となっているようです。
もし低周波治療器による眼筋トレーニングを考えている方は、こうした事を踏まえて行なうかどうか考えてください。
要は何か起きても自己責任で、という事ですね。
※低周波治療器によるその他の効果・効能については、否定するものではありません。
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