最近、低周波治療器による眼筋トレーニングを謳う機器や、これらを使用するサロンが増えています。
大体がこめかみ付近に電極パッドを装着するだけ、という非常にお手軽にできることもあって急増している様子ですが、果たして効果はどうなのでしょうか?
◇低周波(EMS)とは?◇
そもそも、低周波とはどういったものかご存知でしょうか?
テレビのバラエティ番組の罰ゲームなんかで使用されて、「痛い痛い痛い!!」となっているイメージがありますが(笑)。
まず「EMS」とは「Electrical Muscle Stimulation」の頭文字で、それぞれ「電気的」「筋肉」「刺激」といった意味です。
筋肉には電気を流すと縮み、電気が流れないと緩む性質があります。
これを利用し、電気を流すことで筋肉を動かす機器を「EMS」と呼びます。
この電気の波によって、低周波・中周波・高周波と分類されています。
低周波は0.1Hz~1000Hzの周波数と定義されています。
Hz(ヘルツ)とは1秒間に何回波が起きるかを表しており、100Hzだと1秒間に100回波が発生します。
そして低周波は波が大きくなるため、皮膚で抵抗を受けてしまうため、通電は皮膚下の数㎜しか入らず、ごく浅い部分の筋肉運動になります。
◇低周波眼筋トレーニングはどうなのか?◇
それでは、低周波の特性を踏まえて眼筋トレーニングについて考えていきましょう。
まず、このブログで再三再四ご説明してきましたが、視力回復を目的とした眼筋トレーニングを行なうならば、「毛様体筋(眼球の内側にある遠近ピント合わせを行なう筋肉)」のトレーニングでないと意味がありません。
(下記画像③参照)
そうなんですけども、低周波の眼筋トレーニングでは「外眼筋(眼球の外側にある眼球を上下左右に動かす筋肉)」や「眼輪筋(まぶたを開閉するときに使う筋肉)」のトレーニングだったりして、それでピント調節機能が回復する訳はないのです。
さらに、低周波は皮膚のごく浅い部分にしか届きませんので、頭蓋骨や強膜(眼球を保護するための硬めの膜)の内側にある毛様体筋に電気刺激が届くとは考えにくいと思われます。
そのため「視力回復」という点では、ほとんど効果はないと言わざるを得ません。
実際、EMS眼筋トレーニングサイトを見てみると、「視力回復」という文字はほとんど出てきませんでした。
「クリアな視界を取り戻そう」「目からくる悩みを解消」「瞳の目ヂカラアップ」こんな感じです。
「眼筋トレーニング(視力が回復するとは言ってない)」といったところでしょうか!?
もし期待できる効果があるならば、疲労がひどいと視力も低下してしまいますが、低周波で目の周辺の血行が良くなって、疲労が少し解消されれば、疲労で低下した分の視力は戻るかも?というくらいです。
なので、視力回復よりも疲労回復を希望する方には良いかもしれませんね。
◇よく説明をチェックしよう◇
「眼筋トレーニング」と言えば、「視力回復のもの」と思われる方が多いのではないでしょうか。
でも低周波(EMS)の眼筋トレーニングに関しては、どうもそうではないようなので、注意が必要だと思います。
また、一般的な低周波治療器(医療機器)では、「頭・顔・目には使用しないこと」とありますので、これも前提に利用するか考えましょう。
ちなみに日本では、医療機器に該当するものを「低周波治療器」と呼び、そうでない美容機器や健康機器を「EMS」と呼ぶそうです。
そのため、EMSの機器では「視力回復」とか「疲労回復」といった説明はできないので、もし「EMSで視力回復」などと書かれているHPがあれば、それは薬機法違反の可能性が高いと言えます。
そのような記述のあるサイトは、眉に唾を付けて見ることをおススメします。
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