今月の14日に「日本眼科学会」「日本眼科医会」「日本近視学会」「日本弱視斜視学会」「日本小児眼科学会」「日本視能訓練士協会」という、眼科会のほぼ全ての団体から、「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」という声明が出されました。
原文を見たい方は↓のURLからPDFが見られますのでどうぞ。
https://www.gankaikai.or.jp/info/20210414_bluelight.pdf
今回はこのブルーライトカットメガネの意見についてご紹介と、京阪視力回復アカデミーの考えをご紹介します。
◇良くも悪くも?◇
内容を簡単にまとめました。
・ブルーライトカットメガネは、スマホやパソコンなどのいわゆるデジタル端末使用時の睡眠障害や眼精疲労の軽減、また眼球への障害を予防すると謳っている
・この中で「睡眠障害」に関しては論文があり、夜遅くに端末からの光を浴びると睡眠障害を引き起こす恐れがあると指摘されているが、その他は根拠が乏しい
・液晶画面から出ているブルーライトは、曇りの日や窓越しの太陽光よりも少ないので、あまり恐れる必要はない
・子供は太陽光を浴びない方が近視の危険性が高まるので、ブルーライトカットメガネによる目への良い影響ではなく、悪影響がある可能性も否定できない
・アメリカでは、「ブルーライトカットメガネに眼精疲労を軽減する効果は全くない」という報告もある
・睡眠障害への影響を考えると就寝前のブルーライトカットメガネはまだしも、日中の装用に有用な根拠はない
ザックリですがこんな感じです。
この中で一番気になったのが、「子供にとってはブルーライトカットメガネが逆に悪い影響となるかも?」という点です。
ただ、色々なメガネ店でレンズのブルーライトカット率を見てみると、多くが20%~60%程度です。
「ブルーライトカット率100%!」までいけば話は変わりそうですが、そんなものは見つかりませんでした。
また、ブルーライトをカットすると言っても、カットされるのはあくまでも目の周り周辺だけですし、そんなに1日中ずっとかけていることも無いでしょう。
「太陽光が目にとって必要」と言っても、直接太陽を見つめる訳ではありませんし、それはかえって目に良くないです。
それらを考えれば「ブルーライトカットメガネは子供に悪影響」という可能性はかなり低いのでは?と筆者は推測します。
※あくまで個人の感想です。
うちに通っていただいている皆さんでしたら一度は耳にされていると思いますが、京阪視力回復アカデミーでは、そこまでブルーライトカットメガネを重視してきたわけではありません。
「ないよりはあった方が良いと思うけど・・・」程度の認識でした。
ですので、今後も今までと同様のスタンスにはなりますが、ただ眼科医会が懸念している点がある、ということは必ずお伝えしていこうと思います。
まあ、 こういったらアレですが「良くも悪くもどちらもそこまでの効果はない」という感じではないでしょうか。
なお、大人のブルーライトカットメガネ装用に関して、太陽光を浴びる必要性が子供と同等ではないため、特に悪影響に関しての指摘は無いようですが、子供と同様良い影響もない、とのことでした。
◇「私は疲れが楽になった!」という人もいるが・・・◇
でも中には「ブルーライトカットメガネかけると目の疲れが楽になる!」というご意見の方もいらっしゃるでしょうし、実際お聞きしたこともあります。
ですので、完全に「ブルーライトカットメガネは止めとけ!」とまで言うつもりもありません。
眼精疲労や目の疲れが楽になるなら、それは良いことですからね。
「ブルーライトカットメガネをかけると目が楽になる」という根拠は現在のところ何もないため、考えられるのは次の2点です。
①プラシーボ(プラセボ)効果
②明るさ軽減による疲労感の減少
①のプラシーボ効果は、いわゆる「思い込み」による効果です。
例えば【乗り物酔いがひどい人に「酔い止め」と言ってただの小麦粉を飲ませたら、乗り物酔いをしなかった】というような話です。
「ブルーライトカットメガネで目の疲れが減る!」と刷り込まれることで、そのような効果が得られているケースですね。
しかしこれはあくまでも筆者の推測なので、本当にそうなのかはわかりません。
②の明るさ軽減によるものですが、ブルーライトカットメガネは多くに少し色がついていて、それによって少し暗く見えるようになっています。
強すぎる光は目の疲れの原因となりますので、ブルーライトカット云々ではなく明るさが減ったのが疲れ軽減となっているのでは?ということです。
どちらかというと、筆者はこちらの可能性が高いのでは?と思っています。
でも単なる明るさ軽減でしたら、別にブルーライトカットメガネである必要はありません。
それこそサングラスでもよい訳ですが、さすがにスマホ見るときにいちいちサングラスかける人は、あまりいないでしょうけども。
また、明るさ軽減でしたらスマホやパソコンの画面に、「アンチグレア」といった効果の保護フィルムを貼るのも一つの手です。
これなら本人に届く太陽光を遮断することはないので、眼科医会が懸念している子供さんへの悪影響も気にしなくて大丈夫でしょう。
ただし複数端末を使用されている方は、端末ごとにフィルムが必要になってしまうので、そこが難点ですが。
さらにアメリカ眼科アカデミーは「ブルーライトが目に悪いという科学的根拠はない」とまで言っているようですので、それでも使うかどうかはあなた次第です。
◇疲労軽減のためには◇
そのアメリカ眼科アカデミーによると、目の疲労を和らげる最も良い方法は「頻繁に休憩をとって、画面から目を離すこと」だそうです。
これは京阪視力回復アカデミーでも幾度となく言ってきましたが、目の疲労に影響が強いのは「時間と距離」です。
長すぎる時間や近すぎる距離が、人間の目には一番負担を与えます。
休憩はご自身で意識して取っていくしかありませんが、距離に関しては以前もこのブログでご紹介した「視力回復サポートメガネ」がおススメです。
レンズの作用によって、近い距離を見ていても遠くを見ているような目の疲れに抑えられますので、リーチが短いお子さんには特に効果的。
レンズにブルーライトカットを付けることもできますが、この記事を見た上で「ブルーライトカットつけたい!」と思う人はいるのでしょうか!?
この先、各メガネ店からブルーライトカットメガネは、姿を消していくかもしれませんね・・・。
参照ページ:
日本眼科学会他 小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見(※PDFが開きます)
関連ページ:
「ブルーライトで視力は低下しない」という記事について ※今回の内容に合わせて一部内追記しました。