皆さんはご自身の目に乱視があるかどうかはご存知ですか?
良く「物が二重に見えるから私は乱視」なんておっしゃる方がおられます。
でも実はそれ、乱視ではない場合もあるんですよ!
実際、乱視は近視と比べて少々理解しづらい部分があります。
そこで今回は乱視について詳しく解説していきましょう。
◇その① 乱視とはどんな状態?◇
眼科学の本によると乱視は「目の経線により屈折力が違い、外界の一点から出た光線が眼内で一点に結像しない目の状態」と定義されています。
正直”なんのこっちゃ!?”と言う感じだと思いますので、眼球の図を使って説明しましょう。
乱視の原因は下図にある「①角膜」「②水晶体」この二つのレンズの形状により発生します。
角膜・水晶体が完全な円形であれば、縦方向と横方向の焦点は同じ地点に結ばれます。
しかしどこかの方向に歪みがあると、カーブがきつい方向の焦点は手前に結ばれ、逆にカーブが緩い方向の焦点は奥に結ばれます。
レンズのカーブがきつい方向によって、下図のように分類されます。
ちなみに日本人は横のカーブがきつい「直乱視」が多いと言われていますが、その理由ははっきりわかってはいません。
◇その② ほとんどの人に乱視がある◇
ご紹介した通り乱視は角膜・水晶体といったレンズの形状の歪みが原因です。
完全な円であれば乱視は発生しませんが、人間の身体は完璧な形状であることが非常に少ないです。
多少の歪みが生じる場合が圧倒的で、そのためほとんどの方に乱視が見られます。
乱視があるかどうかは”オートレフラクトメーター”での検査でわかります。
↓で言うと「CYL」と書かれた部分の数値が乱視の数値です。
筆者は25年以上目の検査を行なってきましたが、過去にこの屈折度でCYL数値が完全0.00Dという、乱視が全くない人は数名程度しか見た記憶がありません。
そのくらい乱視を持っている人が殆どなのです。
◇その③ 「乱視だけ」の人は少ない◇
ほとんどの人に乱視があると言いましたが、実は「乱視しかない」という方も非常にレアです。
「近視と乱視」「遠視と乱視」というように、近視か遠視と併発しているのが一般的です。
その理由はハッキリとはわかりませんが、乱視があると近視を発症しやすい事が影響していそうです。
乱視があれば意識的か無意識かいずれにしてもブレを矯正しようとしてしまいます。
それが余計な目の疲れとなり、近視になりやすいという訳です。
近視に移行する前の一時的な乱視だけの状態、というのもあるかもしれませんね。
ただし筆者はそんな状態の人、ほとんど見たことありませんけど。
◇その④ 乱視があっても問題ない場合もある◇
しかし、乱視があると言っても非常に弱い乱視は、ほとんど視力に影響が出ません。
特に-0.25Dとか-0.50D程度の乱視だと、近視や遠視が無ければ裸眼で1.2とか見える人も普通にいます。
その辺はオートレフラクトメーターの数値と併せて「乱視表」でチェックします。
眼科やメガネ屋さんのこのような表を見せられたことありませんか?
これが乱視の影響を確認する「乱視表」です。
乱視が無い人・乱視があっても見え方に影響がない人は、すべての線が同じ見え方をします。
しかし乱視がある人はカーブのきつい方向により、縦・横・斜めの一部方向だけ線が濃くみえます。
↑直乱視の見え方(軸度180度)
実際に-0.25Dレベルの乱視ではこのような見え方をしない場合も多々あって、当然視力にも影響していません。
こうした見え方に影響のない弱い乱視を「生理的乱視」といいます。
◇その⑤ メガネで矯正できない乱視がある◇
乱視はレンズカーブの違いにより発生するとお話しました。
ただ中にはレンズカーブの違いが不規則で色々な方向に歪みが生じている乱視があります。
こうした乱視はメガネでは矯正できず、コンタクトレンズ・しかもハードコンタクトレンズでないと矯正できません。
↓イメージ図
このような乱視を「不正乱視」といいます。
ハードコンタクトレンズを装用すれば、レンズと角膜の間に涙の層を作ることで矯正できるようになります。
メガネではある一定の方向の焦点しか矯正できませんし、ソフトコンタクトレンズは柔らかくて角膜の歪みにそって変形してしまうので、硬いハードコンタクトレンズしか矯正できません。
不正乱視の人が痛みや体質などでハードコンタクトレンズを装用できなかったら詰んでしまいますね。
◇その⑥ 二重に見えるのは乱視だけではない◇
冒頭で述べた「物が二重に見えるから私は乱視」という話ですが、実は近視や遠視でも多少二重に見えたりします。
そのため「乱視と思っていたら実は近視だった」こんなケースもたまにありますよ。
そして最も二重にぶれて見えるのはやはり「近視(遠視)と乱視が両方ある」という状態です。
しかし近視が強すぎると二重に見える以前に、遠くのもの全てがほとんど見えなくなってしまいます。
こうなると二重になっていることすら見えなくなりますから、この辺が近視の人が二重に見えるように感じにくい要因になっているのではないでしょうか。
◇その⑦ 弱視の原因になる◇
生まれつき乱視が強い場合、それが原因で弱視になってしまう恐れがあります。
小児弱視で一番多いのは遠視性弱視ですが、軽度遠視と強い乱視というようなケースも見たことがあります。
実はこの小児で乱視が強いのは結構厄介でして・・・。
乱視はメガネよりもコンタクトレンズの方が矯正しやすいことは、先ほど述べました。
でも小さい子供はコンタクトレンズの装用が難しいです。
強い乱視はメガネでの矯正に限界がありますが、弱視は完全に矯正された状態をつくらないと完治が困難です。
そのためメガネでは中々視力が伸びてこず、弱視の完治に時間がかかるケースが見られます。
まあ、そんなに一般的なケースではないと思いますが。
強い乱視(2.00Dオーバー)はメガネのレンズが特注になる場合もあって、余計に大変ですね。
◇まとめ◇
乱視はほとんどの人が持っています。
でも視力に影響しているかどうか?は、同じ度数の乱視でも人によりけりです。
特に近視や遠視が強いと、軽めの乱視でも視力に影響してくるケースが多いように思います。
子供さんの場合、近視の進行と共に乱視の影響が強くなってくることが多いですね。
「乱視の数値は変わっていないのに近視が強くなってレンズ矯正に乱視が必要になってきた」
こんなケースはそんなにレアな話ではありません。
ただし近視の進行と共に乱視も強くなってくるケースも在りますので、一概には言えませんが。
「近視の進行により眼球の変形が起こり、それにより角膜の形状に歪みが発生した」と言うとも十分起こりうる話だと思います。
それを考えると、近視の進行予防は乱視の影響を抑えることにも繋がりそうですね。
中には「目を細めると乱視になる」というような話もありますが、筆者はあまりそうは思いません。
これは当ブログの過去記事「目を細めると乱視になる!!??」で詳しく解説していますので、興味のある方は是非ご覧ください!
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