遠視(えんし)
・ピント調節を行なっていない状態で、5m以上遠方の映像のピントが網膜の後方にズレる
・オートレフラクトメーターによる屈折度数検査で、+1.00Dなどの数値で出る
・軽度であれば近くも遠くも見えるが、強度になると近くも遠くもぼやけて見えにくい
・非常に目が疲れやすい
日本人にはあまり多くない遠視。京阪視力回復アカデミーへのご相談件数も、近視よりグッと少なくなります。
遠視も近視と同様に大カテゴリー的に、次の二つに分類されます。
ピント調節を行なうレンズ(水晶体)の光を曲げる力(屈折力)が弱すぎて、ピントが後ろにズレてしまう。
軽度~中度の遠視に多く、裸眼視力は良いことが多い。近くも遠くも見える。
眼球の奥行(眼軸:がんじく)が短いため、ピントが後ろにズレてしまう。
近くはもちろん、遠くもピント合わせがうまくできず、ぼやけて見えにくい。
豆知識)
人間の身体は大きくなることはあっても、小さくなることは基本ありませんので、遠視の発生に後天的な要素はほとんどありません。
「去年は正視だったのに、今年は遠視になった!」等ということはないのです。
ただしこれは老年期に入ってくれば別。
加齢とともに骨や筋肉量の減少などで、身体が縮んでしまうことがありますが、目の筋肉にも同じ事が起こるとレンズの屈折力が下がるため、遠視の進行に繋がってしまいます。
ピント合わせをしていない状態で、眼球の後ろにピントがずれてしまうという事は、何を見る時でも常にピント合わせの筋肉を緊張させないといけないので、起きている間ずっと近くを見続けているようなもの。
そのため、とにかく目が疲れてしまいます。
これが遠視の最大の特徴です。
また、近視の場合はよっぽど病的に強い近視でない限り、ピント合わせをしなくてもハッキリ見える距離がありますが、強い遠視の場合はピント合わせの筋肉を緊張させてもピントが合わせられず、常にぼやけた状態になってしまいます。
「近くは見にくいけど遠くは見える」これは軽い遠視にしかあてはまりません。
そして生まれたての赤ちゃんに強い遠視があると、視機能の発育が阻害されてしまいますので、メガネをかけても視力が出ない「弱視」という状態になってしまいます。
また、目の疲れがひどいと両目でピント合わせができなくなり、”斜視”や”斜位”という、視線が正面からずれた状態になってしまうこともあります。
これも”弱視”の原因になりえますので、強い遠視は非常に弱視に繋がりやすいのです。
特に片目のみ遠視が強い場合は、かなり弱視の可能性は高いでしょう。
普段両目で見ているようで、実は遠視が強い方の目はあまり機能していないので、視力があまり育ちません。
3歳児検診や就学時検診などで左右の視力に差があった場合、念のために弱視の確認もしておくことをおススメします。
「遠視は遠くが見えるから良いよね~」なんて甘く見ていると、実は近視よりもマズいことになりかねないのです。