京阪視力回復アカデミーにご相談に来られた方や、現在通われている方々からたまに「目を細めると乱視になるって聞いたんですけど・・・」と言われることがあります。
ネットで「目を細める 乱視になる」という感じで検索してみると、確かに「目を細めると乱視になる可能性が」というような記事がちらほらと。
そもそも乱視とは、目の外側のレンズである「①角膜」、または目の内側のレンズである「②水晶体」の歪みから発生する、焦点が乱れてしまう状態です。(下記画像参照)
目を細めると角膜がまぶたで圧迫されて変形し、乱視が発生するというのですが、本当にそんなことが起こるのでしょうか?
まず、一口に「乱視」と言っても、いくつか種類があります。
それはレンズの歪みが発生している角度によって、下記のように分類されます。
もし、まぶたによって角膜が変形し乱視になるとすれば、まぶたは上下からの圧力がかかるはずなので、縦方向にカーブがきつくなる「倒乱視」になるはず。
だって、まぶたで左右からの圧迫はできませんからね。
しかし、日本人はどちらかと言えば横方向のカーブがきつい「直乱視」である方の方が多いのです。
少々古いデータではありますが、とある報告書によると近視や遠視・角膜乱視と全乱視などで少々の違いはあるものの、直乱視の方が多数を占めることが報告されています。
目を細めると乱視が発生するのであれば、倒乱視が多くなりそうなものですが、実際は違うようです。
また、報告書の中に「角膜乱視だと直乱視が最も多く(66.1%)」という記載もありまして、これからしても目を細めると乱視が発生するのは???という感じです。
そしてもう一つは、角膜の弾力性の話。
オルソケラトロジー(オサート)をご存知の方も多いと思いますが、これは寝ている間に特殊な形状のハードコンタクトレンズを装用し、角膜を変形させてピントのずれを矯正し、日中に良好な視力を得るものです。
しかし、角膜には弾力性があるため、朝にコンタクトを外してから、早いと夕方には形状が戻って視力も元に戻ります。
つまり、人為的に変形を試みても、また元の形状に戻ってしまうのです。
だとすれば、目を細めて角膜が変形したとしても、また元に戻るはずで。
そもそもまぶたに角膜を圧迫するほどの圧力があるか?と言われると、無いでしょうね。
上下から押さえつけるにしても、引っ掛かりもありませんしね・・・。
ということで、「目を細めると乱視になる」というのは、かなり信ぴょう性の低い話だと思われます。
だからと言って「目を細めてみても問題なし!」とはならず、近視にとっては悪影響が考えられますので、目を細めてみるのは注意しましょう。
特に小さいお子様の目つきが悪いのは、本当に要注意ですよ!!
参照
順天堂大学 「全乱視と角膜乱視の度数差及び乱視軸差について」
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