「EGR1遺伝子」
かなり聞きなれない単語ですが、どうもこれが近視の進行予防に関係しているようなのです。
理系でない人には難しいかも!?ですが、今回はこのEGR1についてのお話です。
◇「EGR1遺伝子」ってなに?◇
EGR1遺伝子とはものすごくザックリ言うと、細胞の増殖を調整したり、腫瘍の形成を予防するような遺伝子だそうです。
近視の進行原因の一つとして【眼軸の伸びがある】ことは、このブログで再三お伝えしてきました。
どうもEGR1遺伝子を活性化させると、この眼軸の伸びを抑える働きがあるようなのです。
これは慶應義塾大学眼科学教室らの研究結果にて報告されています。
そして現在、EGR1遺伝子の活性化のために色々な研究が始まっていますが、大きく「クロセチン」と「バイオレットライト」の2点からのアプローチがあるようです。
◇クロセチンはサプリメント系で◇
クロセチンはクチナシの果実やサフランに含まれる天然色素です。
これがEGR1遺伝子の活性化作用を持っているそうで、他の成分より群を抜いて高かった様子。
クロセチンはサプリメントとして販売されていますが、近視の進行予防に特化したものとしては、ロート製薬「ロートクリアビジョンジュニア」「ロートクリアビジョンジュニアEX」があります。
「ロートクリアビジョンジュニア」は、おやつ感覚でポリポリ食べられるもので、比較的手軽に手に入ります。
それに対して「ロートクリアビジョンジュニアEX」は、クロセチンの含有量が「ロートクリアビジョンジュニア」の約10倍あるそうで、眼科からでないと購入できません。
お値段も倍ほど違いますので「どちらを選ぶかはあなた次第」という感じです。
ただ、以前のブログ記事でもお話しましたが、サプリメントはあくまでも「栄養食品」「栄養補助食品」で、「医薬品」「医薬部外品」ではありません。
「風邪をひいて風邪薬を飲む」のと「風邪をひかないようにビタミンサプリを飲む」のは、違いますよね?
これを前提に考えると良いでしょう。
◇バイオレットライトは日光浴で◇
バイオレットライトは、以前にこのブログでもご紹介しましたが、紫外線とブルーライトの間あたりの波長光です。
バイオレットライトにもEGR1遺伝子の活性化を促進する働きがあるそうで、それが近年よく言われる「近視の進行予防に太陽光を浴びる」という話に繋がっています。
最近のメガネレンズは、ほぼほぼUVカットが標準装備されていますが、バイオレットライトは波長が紫外線に非常に近いため、UVカットで一緒にバイオレットライトもカットされてしまうそうです。
(※「窓ガラスでもバイオレットライトが遮断される」という話もありましたが、真偽は不明。)
それでメガネメーカーJINSでは、バイオレットライトを透過するレンズを開発し発売を開始しています。
ただしバイオレットライトを透過する分、紫外線とブルーライトカット率は低下しているため、これをどう見るか???という印象です。
また、積極的にバイオレットライトを浴びるために、メガネからバイオレットライトを照射できるパーツを付けるメガネ、なんていうのも開発しているようですが、完成には至ってないようです。
そこまでするのもどうなん!?という感じも無くはないですけども。
◇近視抑制効果は?◇
現時点(2021年4月)発表されているものは、眼軸伸長の抑制が約14%、屈折抑制効果が約20%です。
ただし、まだまだ症例数が少ないため、これからのデータ蓄積が求められます。
また、近視の進行は遺伝的要因だけでなく、環境的要因つまり目の使い方も関係しており、当然人によって目の使い方は違います。
例えば”近業(近くを見る作業)が1日2時間の人と8時間の人で同様の進行抑制効果が得られるか?”といった点も、今後の研究課題の一つではないでしょうか。
もし目の使い方に関係なく、大多数の人が同様の眼軸伸長抑制効果が得られるのであれば、だいぶ効果的と思いますが、さてどうでしょうか!?
今後の研究が進むのを待つこととしましょう。
視力回復トレーニングだけでなく、色々な方面から近視の予防アプローチができた方が、当然進行抑制効果は高まるでしょうから、良い結果が出ることを期待しています。
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