新型コロナウイルスによる外出自粛や、オンライン化による端末視聴時間の増加により、世界的に近視が大幅に増加しています。
2010年に全世界の近視発症率は28%だったのに対し、2050年には50%になることが予想されているそうです。
その中でも日本は世界的に近視人口が多い事はご存知かと思います。
2019年に慶応義塾大学から出されたプレスリリースでは、驚きの数字が発表されました。
東京都内の公立小・中学校に通う約1400名に屈折検査・眼軸測定を行なったところ、なんと小学生の近視率が76.5%・中学生では94.9%だったと言うのです。
更に小学1年生の時点で近視率が60%を超えていたそうで、この数字は衝撃でした。
これらの数字はあくまでも東京都内のデータですので、地方になるとまた変わる可能性は高いと思います。
しかし私立小・中学校ではなく、公立の小・中学校でこの結果は驚きました。
色々話を聞いても、私立より公立の学校の方が視力低下率が低めな印象でしたからね。
近視になっても別に死ぬことはありませんし、メガネやコンタクトレンズを装用すれば普段の生活に支障がなくなるので、今までは放置されてきました。
でも近年の研究によって、近視は失明・低視力(=ロービジョン)を発生させる要因の一つであることがわかってきました。
特に-6Dを超える近視では、様々な眼病・失明のリスクが高まることが報告されています。
Haarman氏の研究では正視と比べた場合のリスクの違いを報告されています。
〇近視黄斑症 → 845倍
〇網膜剥離 → 12.6倍
〇核白内障 → 2.86倍
〇開放隅角緑内障 → 2.92倍
〇ロービジョン → 5.5倍
更に屈折度数が-12.0Dを超えた場合、70歳以降のロービジョンになる確率が70%にもなり、屈折度数-6.0Dでも15%以上だとしています。
※ロービジョンは矯正視力が0.3未満の状態。
このように強度近視は正視や軽度近視に比べても視力障害リスクが高いのですが、過去に軽視されてきた要因の一つに「ゆっくり進行することによる危機感の喪失」が挙げられています。
若い世代からすれば70歳なんて遥か未来の話ですから、その時に備えておくのも中々難しいかもしれません。
でも人生80年と考えても、70歳以降残り10年間の生活を考えれば、予防しておくに越したことはないでしょう。
「近視はメガネ(コンタクトレンズ)を使えば見えるから何も問題ない」
「子供の近視は何やっても進行するからほっとくしかない」
こうした言葉は一昔前の眼科でもよく言われていました。
でもこれらが間違いであったことがわかってきています。
このブログ過去記事でもお話しましたが、軽い近視は日本人にとって有利に働く場合が多々あります。
普段の生活の中で遠くを見る機会と近くを見る機会を比べれば、ほとんどの方が近くを見る機会の方が多いでしょう。
-3.00D未満の近視であれば、裸眼で近くは見える上に正視よりも目の疲れが少なくて済みます。
前述の慶応義塾大学の発表を見れば、近視の発生を防ぐのは難しい時代なのかもしれません。
だからこそ近視の進行を最小限に抑えて、将来の失明状態を防ぐことが必要なのではないでしょうか。
京阪視力回復アカデミーの視力回復トレーニングは、遠方凝視のトレーニングになりますので、近視の進行予防にもつながります。
また、近視の進行予防には目の疲労除去もポイントですが、そうした機器もご用意しております。
視力の回復ももちろん大事ですが、それと同じかもしくはそれ以上に近視の進行予防もお考えください。
特に子供さんの軽い近視の時点で進行予防を早めに行なっておくことは、将来の強度近視や病的近視の予防に大きなポイントです。
「まだ視力もそれほど悪くないから様子見るか」
これはあまり良い選択とは言えませんので、早い段階で手を打っておくようお願いしたいと思います。
参照ページ:
慶応義塾大学プレスリリース 「小中学生の近視増加傾向への警鐘」 ※PDFが開きます。
視覚の科学 第41巻第2号 「近視予防治療のアップデート」 ※PDFが開きます。
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